混成軌道は、原子価結合法において、原子が結合を形成する際にその原子の軌道が混じり合って新しい軌道を作る現象です。
詳しく見てみましょう!
原子軌道を組み合わせで作った軌道
原子価軌道法において、結合形成を考える場合、基底状態の原子軌道をそのまま用いると実際の分子構造と整合性が取れない場合があります。その場合に形成するのが混成軌道です。混成軌道はs軌道とp軌道を適切な割合で線形結合することで形成することができます。
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s軌道1つとp軌道3つから軌道を混成します。
以下の原子軌道の線形結合で表され、結果として正四面体の頂点へ向けた軌道ができます。
$$
Ψ_{1} = \frac{1}{2}Φ_{s} + \frac{1}{2}Φ_{p_{x}} + \frac{1}{2}Φ_{p_{y}} + \frac{1}{2}Φ_{p_{z}}
$$
$$
Ψ_{2} = \frac{1}{2}Φ_{s} + \frac{1}{2}Φ_{p_{x}} – \frac{1}{2}Φ_{p_{y}} – \frac{1}{2}Φ_{p_{z}}
$$
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Ψ_{3} = \frac{1}{2}Φ_{s} – \frac{1}{2}Φ_{p_{x}} + \frac{1}{2}Φ_{p_{y}} – \frac{1}{2}Φ_{p_{z}}
$$
$$
Ψ_{4} = \frac{1}{2}Φ_{s} – \frac{1}{2}Φ_{p_{x}} – \frac{1}{2}Φ_{p_{y}} + \frac{1}{2}Φ_{p_{z}}
$$
s軌道1つとp軌道2つから軌道を混成します。
以下の原子軌道の線形結合で表され、結果として正三角形の頂点へ向けた軌道ができます。
$$
Ψ_{1} = \sqrt{\frac{1}{3}}Φ_{s} + \sqrt{\frac{2}{3}}Φ_{p_{x}}
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$$
Ψ_{2} = \sqrt{\frac{1}{3}}Φ_{s} – \sqrt{\frac{1}{6}}Φ_{p_{x}} + \sqrt{\frac{1}{2}}Φ_{p_{y}}
$$
$$
Ψ_{3} = \sqrt{\frac{1}{3}}Φ_{s} – \sqrt{\frac{1}{6}}Φ_{p_{x}} – \sqrt{\frac{1}{2}}Φ_{p_{y}}
$$
s軌道1つとp軌道1つから軌道を混成します。
以下の原子軌道の線形結合で表され、結果として直線に対向する軌道ができます。
$$
Ψ_{1} = \frac{1}{\sqrt{2}}Φ_{s} + \frac{1}{\sqrt{2}}Φ_{p_{x}}
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Ψ_{2} = \frac{1}{\sqrt{2}}Φ_{s} – \frac{1}{\sqrt{2}}Φ_{p_{x}}
$$
分子構造を説明するのに役に立ちます。
メタンの分子構造を例に考えてみましょう。
原子価結合法(VB法)で炭素原子と4つの水素原子と電子を共有し結合を形成することを考えてみましょう。
メタンを構成する元素(炭素、水素)の電子配置は以下に示す通りです。
炭素の電子配置:[He]2s2 2p2
水素の電子配置:1s1
基底状態の炭素原子において、結合に関与できるのは外殻にある2p軌道の2電子のみということになってしまいます。
そのため、炭素はそのままの電子配置では結合を4本形成してオクテット則を満たすことができません。
そこで炭素をsp3混成軌道を持つとして考えてみましょう。
この電子配置から共有結合を形成することを考えると炭素のsp3混成軌道と水素の1s軌道の重なりから等価な単結合が4本形成出来ます。
また、sp3混成軌道をとることで正四面体となるため、実際のメタンの分子構造と整合性が取れます。
ではなぜ、混成軌道を作るのでしょうか?
大きな理由としては混成軌道の形にあります。
混成軌道を作る場合、より安定な分子を形成することができます。混成軌道は特定の方向に電子が集中しやすいため、原子軌道がそのまま結合するよりも、他の原子の軌道とより効率的に重なり合うことができます。
これにより、より強固な結合が形成できるため混成軌道を形成するのです。
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