SN1は、脱離基が先に外れてカルボカチオンを作ってから進行する求核置換反応です。(→ 求核性とは?)
その結果、速度は基質濃度のみに依存します。
ハロゲン化アルキル (R−X)の脱離基(−X)が、求核剤(Nu−)と置換して、生成物(R−Nu)と脱離基(X−)が得られる反応です。
反応形式はSN2反応と変わりませんが、反応機構の違いによりSN1とSN2は区別されます。
SN1反応とSN2反応の違いとは?|選択性・機構・見分け方を整理 - まなびのいずみ |
SN1は段階的な機構で進行します。
基質 (R−X)から脱離基(X−)が外れ、中間体のカルボカチオン (R+)が生成します。
不安定なカルボカチオンが生成するため、この脱離過程が律速段階になります。
中間体のカルボカチオン(R+)に求核剤(Nu−)が攻撃し、置換生成物(R−Nu)が生成します。
不安定なカルボカチオンが消費される工程のため、この過程は速やかに進みます。
SN1はカルボカチオンを中間体としてとるため、基質が光学活性を持つ場合でも、生成物はラセミ化します。
これは、カルボカチオンになると、求核攻撃は上面と下面の区別をする事が出来ないためです。
ただし、イオン対が、片側の求核攻撃を遮蔽するために、実際は完全な50:50にならないことも多いです。
どれだけカルボカチオンができやすいかが反応速度を決定します。
SN1の進みやすさは生成するカチオンの安定性で決まります。
そのため、ハロゲン化アルキルの置換基数や共鳴構造が反応性に影響を与えます。
3級 > 2級 > 1級 > メチル
カルボカチオンは、誘起効果や超共役による電子供与や共鳴による電荷の非局在化により安定化されます。
3級のハロゲン化アルキルは特に超共役による安定化効果が大きな影響をあたえます。
共鳴による安定化はベンジルカチオンやアリルカチオンなどの安定化に寄与します。
SN1反応では、求核剤の強さは反応速度に影響を与えません。
これは、脱離過程が律速段階になるためです。
しかし、塩基性の求核剤を用いる場合、HXの脱離が競合する場合があります。
そのため、中性や酸性条件 (求核性が低い)で行われることが多いです。
SN1では脱離基の良さが極めて重要です。
この脱離基の優劣は、SN2で解説した傾向と同じです。
TsO− ≒ I− > Br− > Cl− > OH−
SN1はプロトン性溶媒で促進されます。
プロトン性溶媒では、脱離過程のカルボカチオンの生成が下記の効果により安定化されます。
実際の反応は、SN1かSN2のどちらか一方だけで進むとは限りません。
多くの場合、両機構が競合し、条件によって割合が変化します。
SN1とSN2の反応選択に関しては、下記の記事で解説しています。
SN1反応とSN2反応の違いとは?|選択性・機構・見分け方を整理 - まなびのいずみ |
段階的反応
カルボカチオン中間体を経由し、脱離と求核攻撃が別々に起こる
カチオン中間体 → ラセミ化
上下どちらからも攻撃されるため、光学活性が失われる
反応速度は基質のみに依存
反応のしやすさを決める主な要因
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