求核置換反応では、同じハロゲン化アルキルでも SN1反応 と SN2反応 のどちらで進むかが条件によって変わる場合があります。
この違いは主に次の要因で整理できます。
求核置換反応の全体像を、反応の選択性、SN1とSN2の違いから整理しましょう。
求核置換反応は、炭素に結合した脱離基が外れ、そこへ求核剤が結合する反応です。
一般式で表すと、
R–X + Nu⁻ → R–Nu + X⁻
となります。
この反応には2つの代表的な反応経路があります。
この2つは、反応機構が違うだけで求核置換反応の結果得られる生成物は同じです。
では、SN1とSN2はそれぞれどのような条件で選択されるでしょうか?
求核置換反応の反応選択性は主に
が要因となって決まります。
第3級炭素では、周囲にアルキル基が多く立体障害が大きいため、求核剤が背面攻撃しにくくなります。
そのためSN2反応は起こりにくくなります。
一方で、脱離基が抜けて生成する第三級カルボカチオンはアルキル基の電子供与によって比較的安定です。
その結果、SN1反応が有利になります。
メチル基質や第1級炭素では、立体障害が小さく求核剤が攻撃しやすい構造です。
一方、メチルカチオンは不安定であり、SN1反応は起こりにくくなります。
そのため、SN2反応が有利になります。
第2級炭素は第1級炭素と第3炭素の中間の性質のため、SN1とSN2の両方の反応を取り得ます。
SN2が有利な条件
ならSN2寄りになりやすく、
SN1が有利な条件
ならSN1寄りになりやすくなります。
通常、第一級ハライドはSN2反応が有利です。
しかし、ベンジル位やアリル位では共鳴安定化により、SN1反応も進みやすくなります。
SN2反応では、求核攻撃が律速段階に関わるため、強い求核剤ほどSN2反応を促進します。
SN1反応では、律速段階が脱離基の解離であるため、求核剤が弱くても進行可能です。
SN1反応では、強い塩基性を持つ求核剤を用いる場合、脱離反応が競合する可能性があります。
そのため、中性または酸性で反応する場合が多いです。
プロトン性溶媒は脱離基や中間体のカルボカチオンを安定化しやすく、脱離過程が進行しやすくなります。
そのため SN1反応を促進します。
非プロトン性極性溶媒では、求核剤が不安定化されるため求核性があがり、SN2反応を促進します。
SN1, SN2ともに、脱離基が安定に外れられるほど、反応は進みやすくなります。
一般に、塩基性が弱い脱離基が脱離しやすい傾向があります。
I− > Br− > Cl− > F−
基質:3級ハライド
溶媒:プロトン性溶媒
脱離基:Br−
求核剤:H2O (弱い求核剤)
立体障害の大きい基質
プロトン性溶媒
→ SN1で進行
基質:メチルハライド
溶媒:極性非プロトン性溶媒
脱離基:Br−
求核剤:OH−(強い求核剤)
立体障害の小さい基質
→ SN2で進行
基質:アリル位置換, 2級アルコール
溶媒:プロトン性溶媒
脱離基:−OH2+ (良い脱離基)
求核剤:Cl−
アリル位でカチオンを安定化
プロトン性溶媒
→ SN1で進行
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