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【大規模大気特論】モーゼスとカーソン(Moses & Carson)の式

煙突排ガスの周辺の汚染濃度を計算するには有効煙突高さを計算し、その高さから汚染物質が放出されるとして計算されます。有効煙突高さは煙突の高さに排ガスの上昇高さを加えて算出するため、排ガスの上昇高さを算出する排ガス上昇式は公害防止の観点で非常に重要です。排ガス上昇式の一つであるモーゼスとカーソンの式について学んで行きましょう!

モーゼスとカーソンの式ってなんなの?

ざっくり

大気安定度を考慮した排ガスの上昇高さの推定式

比較的大きい煙源からの排煙の上昇高さを計算するのに向いています。

定義

$$
{\Delta H }=\frac{C_{1}v_{g}D+C_{2} Q_{H}^{1/2}}{u}
$$

ΔH :上昇高さ(m)
vg :吐出速度(m/s)
D:煙突出口径(m)
QH:排出熱量(W)
u:煙突出口高さでの風速(m/s)
C1, C2:大気安定度で変わる係数

大気安定度C1C2
安定-1.040.0707
中立0.350.0834
不安定3.470.16

式だけを見てもよくわからんので、どういう意味があるのか詳しく見ていきましょう。

モーゼスとカーソンの式における排ガス上昇高さ(ΔH)の傾向

各変数を変化させた場合に、排ガス上昇高さΔHは以下のように変化します。

  1. ガスの吐出速度(vg )↑ → ΔH↑
  2. 煙突出口径(D)↑ → ΔH↑
  3. 煙突出口での風速(u)↑ → ΔH↓
  4. 排出熱量(QH)↑ → ΔH↑

回帰的に求めた式のため、
指数は異なりますが他の排ガス上昇高さの推定式と同じ傾向を示します!

考え方
  1. ガスが勢いよく出ると高く上昇する
  2. ガスの量が増えると風に煽られにくい
  3. 煙突出口で風に煽られると失速する
  4. 排出ガスが熱いと軽いので上昇する

モーゼスとカーソンの式の特徴

長所

  • 大気安定度を考慮している。
  • 比較的シンプルな式である。
  • 第1項が運動量上昇高さ、第2項が浮力上昇高さを示しており、
    運動量と浮力による上昇の寄与を直感的にわかりやすい。

短所

  • 地形の影響や風速の高度変化などを考慮していない。
  • 回帰式であるため、適用範囲外の条件では精度が低下する可能性がある。

また、モーゼスとカーソンの式では、
大気安定度を考慮しており、大気安定度により係数C1, C2が使い分けます。

大気安定度の違いによる排ガスの上昇高さの変化

モーゼスとカーソンの式は係数C1, C2に変更するより大気安定度を考慮しています。
係数C1, C2値の変化がどのような影響を与えるのか詳しく見ていきましょう。

① 大気安定度が安定:C1=-1.04, C2=0.0707

  • C1が負の値である ⇒ 風速が上昇を抑制する効果が強く働く。
  • C2が比較的小さな正の値である ⇒ 浮力による上昇の効果も穏やかである。

安定した大気の状態では
排ガスが周囲の空気と混合しにくく、浮力を維持しにくい。

② 大気安定度が中立:C1=0.35, C2=0.0834

  • C1 が小さな正の値である ⇒ 運動量による上昇が比較的持続する。
  • C2 が中程度の正の値である ⇒ 浮力による上昇の効果も安定な場合に比べて大きい。

中立な大気の状態では
ある程度の混合は起こるものの、不安定な場合に比べると浮力は維持されやすい。

③ 大気安定度が不安定:C1=3.47, C2=0.16

  • C1が大きな正の値である ⇒ 運動量による上昇が促進される
  • C2が大きな正の値(0.16)である ⇒ 浮力による上昇の効果が非常に大きい

不安定な大気の状態では
排ガスが周囲の空気と混合しながらも、高い浮力を維持して上昇し続ける。

まとめ

モーゼスとカーソンの式

大気安定度を比較的簡便に排ガスの上昇高さを推定できる!

実際の環境アセスメントにおいては、複数の推定式の結果を比較したり、より詳細な拡散シミュレーションと組み合わせたりすることが重要となります。

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PuriPuri

化学メーカー勤務のプロセス屋さん。 阪大修士卒。お家の調理担当。