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原子価結合法(VB法)とは?∣化学結合(π結合,σ結合)についてざっくり解説!

原子価結合法(Valence Bond theory, VB法)は、化学結合を原子軌道を用いてモデル化する理論です。分子の構造を理解し、結合の性質を説明するために用いられます。
詳しく見てみましょう。

原子価結合法(VB法, Valence Bond theory)ってなんなの?

ざっくり

化学結合を原子軌道を用いてモデル化する理論

どういうこと?

分子の構造を書く時、通常ルイス構造式やケクレ構造式で描くと思います。この際、それぞれの原子同士を共有結合で結んだ構造を描きます。この共有結合がどのような性質を持つかは原子軌道を見るだけでは分かりません。
この共有結合の概念を原子軌道から考えるのが原子価軌道法です。

化学結合の理論化を志向しているため直感的に分かりやすいという特徴があります。

原子価軌道法の基本的な考え方

VB法の基本的な考え方は以下の3点です。

  1. 電子は原子軌道に存在
  2. 化学結合は2つの原子の電子がペアになることでできる
  3. 軌道が重なると電子が共有される

共有結合の種類

VB法では、軌道の重なり方によって共有結合を分類します。

σ結合

原子核間を結ぶ軸上で軌道が直線的に重なることで形成される結合です。最も基本的な結合であり、すべての単結合はσ結合です。

π結合

原子核間を結ぶ軸に対して垂直方向に、平行なp軌道同士が側面から重なることで形成される結合です。二重結合や三重結合に含まれます。

簡単な分子への適用例

エチレンの分子構造

エチレンはsp2混成炭素2つと水素4つで構成されます。

混成軌道とは?

化学構造式では二重結合で炭素間を結合されるように表現されますが、2本の結合は等価ではなくそれぞれσ結合とπ結合で表現されます。

アセチレンの分子構造

同様にアセチレンはsp混成炭素と水素2つで構成され、以下のように表現されます。

このように原子価結合法によって化学結合に関して結合の性質を反映して表現することが出来ます。

似たような概念を分子軌道法でも見た気がするけど、何が違うの?

原子価結合法と分子軌道法の違い

原子価結合法と分子軌道法(Molecular Orbital theory, MO法)は、どちらも化学結合を説明する2つの主要な量子化学的手法です。
しかし、似て非なるもののため注意が必要です。分子軌道法では原子軌道を求めたときと同様に複数の原子核が配置された時に電子が収容される軌道を計算して電子を表現します。
有機化学の分野では原子価結合法で定性的な議論を行い分子軌道法で定量的な議論を行うこともあります。原子価結合法と分子軌道の違いが分かるようにしておきましょう!

特徴 原子価結合法(VB法) 分子軌道法(MO法)
基本的な考え方 原子軌道の重なりで結合を形成する 原子軌道の線形結合で分子軌道を形成する
電子の分布 原子間に局在 分子全体に非局在化
結合の表現 化学結合 なし
得意な分野 結合の方向性、ルイス構造との整合性 磁性、励起状態、スペクトル、定量解析

まとめ

原子価結合法とは、化学結合を原子軌道の重なりとして直感的に理解できる強力なツールです。特に、σ結合やπ結合といった概念を通じて、分子の構造や結合の方向性を視覚的に捉えることができます。分子軌道法との違いを理解することで、それぞれの理論がどのような化学現象の理解に役立つのかが明確になります。

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PuriPuri

化学メーカー勤務のプロセス屋さん。 阪大修士卒。お家の調理担当。