SNArは、電子不足になった芳香環に対して求核剤が置換する芳香族求核置換反応です。
通常、芳香族は電子豊富であるため求核攻撃を受けにくく、求核置換反応は進行しません。
しかし、
例外的に求核攻撃を受けるようになります。(→ 求核性とは?)
この反応は、芳香族の性質を理解する上で非常に重要です。
芳香族求核置換には複数の機構があり、条件によって切り替わります。
本記事では、SNAr反応の反応機構とどのような条件で進行するかを体系的に整理します。
求核剤が置換基のイプソ位に攻撃し、芳香族性が失われたアニオン中間体を形成します。
この中間体はMeisenheimer(マイゼンハイマー)錯体と呼ばれます。
この「不安定な中間体を作ること」がエネルギー的に最も不利であるため、この段階が律速になります。
続いて、脱離基(X⁻)が外れることで、芳香環が回復し、生成物となります。
芳香環の回復は大きな安定化要因であるため、脱離は比較的進みやすい工程です。
この反応の本質は、マイゼンハイマー錯体の安定性にあります。
この中間体では
という2つの不利な要素が同時に存在します。
そのため、通常の芳香族ではこの中間体が高エネルギーすぎて生成できません。
しかし、電子求引基が芳香環につく場合
これらの効果により、中間体であるマイゼンハイマー錯体のエネルギーが大きく低下し、反応進行が可能になります。
特に重要なのは、置換基の位置です。
マイゼンハイマー錯体において負電荷は、オルト/パラ位に現れます。
そのため
この違いは、共鳴構造により理解できます。(→ 共鳴効果とは?)
電子求引性が強いほど、中間体が安定化され反応は速くなります。
例:NO₂ > CN > CF₃
電子求引基が多いほど、マイゼンハイマー錯体が安定化されるため反応は早く進行します。
SNArと一般的な求核置換(SN2)では、脱離基の優劣に逆の傾向が見られます。(→ SN2反応)
F > Cl > Br > I
SNArは付加が律速段階であるため、
付加段階での反応速度を上げる要因である
が脱離基の優劣を決めることになります。
➢ 非常に典型的なSNAr反応
という条件によって決まります。
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