アンモニア接触還元法(SCR)|NOx排煙脱硝の仕組みと特徴
アンモニア接触還元法は、排煙脱硝技術の中でも最も代表的な方法です。
火力発電所や焼却炉などの固定発生源では、現在も主流のNOx対策として広く採用されています。
NOxの種類や発生メカニズムについては、以下の記事で整理しています。
アンモニア接触還元法とは?
アンモニア接触還元法とは、排ガス中の NOx をアンモニアで還元し、窒素へ変換して除去する代表的な脱硝技術です。
選択触媒還元法(Selective Catalytic Reduction, SCR)とも呼ばれます。
ここで選択とは、酸素が共存する条件でも、NOx を選択的に還元することを意味します。
火力発電所や焼却炉などの排煙脱硝装置として広く用いられています。
アンモニア接触還元法の原理
アンモニア接触還元法では、還元剤であるアンモニア(NH₃)を排ガス中に注入し、触媒上で NOx を窒素(N₂)へ還元します。
代表反応式
NO が主成分の場合:
4NO + 4NH₃ + O₂ → 4N₂ + 6H₂O
NO と NO₂ が混在する場合:
NO + NO₂ + 2NH₃ → 2N₂ + 3H₂O
※NO と NO₂ が共存すると反応速度が速くなります。
処理フロー
アンモニア接触還元法では、排ガスにアンモニアを注入し、触媒層を通過させることで脱硝を行います。
アンモニアの代わりに、尿素を投入し、分解して生成したアンモニアにより還元する方式もあります。

触媒
アンモニア接触還元法で使用される触媒は、固体触媒を用いる不均一触媒であり、主に金属酸化物系触媒が用いられます。
代表例:
- V₂O₅–TiO₂系触媒
- WO₃添加型触媒(耐硫黄性向上)
触媒の特徴
- 300〜400℃付近で高活性(排ガス温度域に適合)
- ダストによる閉塞に注意
- SO₂酸化による副反応が生じる場合あり
触媒構造はハニカム型が一般的です。
また、適温条件の関係から、空気予熱器上流に設置されることが多いです。
アンモニア接触還元法の特徴
アンモニア接触還元法は、高い脱硝率を持つ一方で、触媒管理が必要な技術です。
長所
- 高い脱硝率(80〜90%以上)
- 比較的低温域で反応可能
- 大規模設備に適する
短所
- 触媒劣化が生じる
- アンモニアスリップ(未反応NH₃の漏れ)が発生する可能性
- 設備コストが高い
無触媒還元法 (SNCR)との違い
アンモニア接触還元法と並ぶ排煙脱硝技術として、無触媒還元法(SNCR)があります。
SNCRは触媒を使用せず、高温領域でアンモニアや尿素を直接反応させる方法です。
両者の違いを以下に示します。
| 項目 | アンモニア接触還元法(SCR) | 無触媒還元法(SNCR) |
|---|---|---|
| 触媒 | 使用 | 不使用 |
| 温度 | 300〜400℃ | 850〜1100℃ |
| 脱硝率 | 高い | 中程度 |
| 設備 | 大型 | 簡易 |
詳しくは以下で解説しています。
まとめ
アンモニア接触還元法とは?
- 触媒を使用する脱硝法
- NH₃を還元剤として使用
- 適温は300〜400℃
- SNCRと比べ、低温で排煙脱硝が可能
NOx対策は、発生抑制と排煙脱硝の2つの側面から考える必要があります。
詳しくは下記の記事で解説しています。


