ヒュッケル則てなに?∣芳香族と反芳香族の判別方法についてざっくり解説!

ヒュッケル則は有機化学の重要な概念である芳香族性に関する法則です。どういう法則なのか?なぜヒュッケル則が成り立つのかざっくり解説していきます!


ヒュッケル則とは?

ざっくり

π電子数が (4n+2) 個である場合に芳香族性を示し、非常に安定になるという法則

適応条件

  1. 環状であること
  2. 平面構造であること
  3. 完全に共役していること
  4. π電子の数が (4n+2) 個であること 電子が環状に非局在化できる かつ (4n+2)π系であることが条件になります。

一方で、 電子が環状に非局在化できる かつ 4nπ系である場合、反芳香族性を示します。

共役による安定化効果及び不安定化

ヒュッケル法を用いて計算した場合の安定化効果から芳香族の安定化効果を見てみましょう。

芳香族化合物の例:ベンゼン

ベンゼンとその直鎖状分子の1,3,5-ヘキサトリエンの分子軌道はそれぞれ以下のようになります。

1,3,5-ヘキサトリエンとベンゼンのエネルギー比較

この分子軌道からベンゼン、1,3,5-ヘキサトリエン、共役のない場合のそれぞれのエネルギーは以下の通りとなります。

ベンゼン 6α+8β
ヘキサトリエン 6α+7β
共役がない場合 6α+6β

ベンゼンでは環状共役がない場合と比べて2βの安定化効果があります。また、鎖状共役系である1,3,5-ヘキサトリエンと比べても、βの安定化していることから環状共役による安定化=芳香族性が見られます。

反芳香族化合物の例:シクロブタジエン

シクロブタジエンとその直鎖状分子のブタジエンの分子軌道はそれぞれ以下のようになります。

シクロブタジエンとブタジエンのエネルギー比較

この分子軌道からシクロブタジエン、ブタジエン、共役のない場合のそれぞれのエネルギーは以下の通りとなります

シクロブタジエン 4α+2β
ブタジエン 4α+4.47β
共役がない場合 4α+4β

シクロブタジエンでは環状共役がある場合、2βの不安定化効果があります。一方、ブタジエンでは0.47βの安定化効果があることから、環状共役による不安定化=反芳香族性が見られることかがわかりました。

info

シクロブタジエンは共役を避けるために正方形でなく長方形型になります。
対称性を下げる事で安定化することをヤーン・テラー効果と言います。
無機化学で出てくるので覚えておきましょう。

なんで(4n+2)πの時だけ?

ベンゼンとシクロブタジエンの分子軌道をヘキサトリエンとブタジエンを環状にくっつけた時の安定化効果から考えてみます。

ベンゼンの場合((4n+2)π電子系)

1,3,5-ヘキサトリエンの環化による分子軌道の変化

ヘキサトリエンをベンゼンにする場合HOMOは同位相で相互作用するために安定化します。
一方、LUMO は逆位相で相互作用するため不安定化します。この結果としてHOMO-LUMOギャップが大きくなり、また全体のエネルギーも小さくなるため安定化します。

シクロブタジエンの場合(4nπ電子系)

ブタジエンの環化による分子軌道の変化

ブタジエンをシクロブタジエンにする場合HOMOは逆位相で相互作用するために不安定化します。一方、LUMO は同位相で相互作用するため不安定化します。この結果としてHOMO-LUMOギャップが小さくなり、また全体のエネルギーも大きくなるため不安定化します。

ベンゼンとシクロブタジエンで発生する安定化効果は(4n+2)πと4nπで一般的に起こります。
つまり

電子数が(4n+2)πの時にHOMOの軌道の対称性が一致するため安定化する

ということです。

まとめ

ヒュッケル則

  • 環状、平面構造、完全共役の分子が、4n+2個のπ電子を持つと芳香族性を示し安定化する
  • 4n個のπ電子を持つ場合は反芳香族性を示し不安定化する。

芳香族性の安定化は、分子軌道の安定化とHOMO-LUMOギャップの拡大によって説明できます。
ヒュッケル則は、分子の安定性や反応性を理解するための強力なツールです。この法則を知ることで、多くの有機化合物の性質を予測できるようになります!

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