酸・塩基の定義といえば、高校の教育ではブレンステッド酸・塩基を学びますが、大学以降の化学ではより一般的な概念としてLewis(ルイス)酸・塩基が広く使われます。
ルイス酸・塩基は、プロトンの授受ではなく、電子対のやり取りで酸塩基を定義します。
この考え方を使うと、配位結合や金属錯体、有機反応まで統一的に理解できます。
ルイスの定義では
電子対を受け取る側が酸、与える側が塩基です。
図の例では、NH₃の孤立電子対がBF₃に供与され、配位結合が形成されます。
代表的なルイス酸とルイス塩基の例は以下です。
いずれも空の軌道を持ち、電子対を受け取りやすい物質です。
H+と同じように、:OH–のような電子供与体からの電子供与を受けることができます。
基本的には、ブレンステッド酸で塩基とされた物質が塩基に分類されます。
ブレンステッド酸塩基の定義は以下でした。
Brønsted(ブレンステッド)酸・塩基|プロトンのやり取りで理解する酸と塩基 - まなびのいずみ |
つまり、プロトンのやり取りに限定された定義です。
また、ブレンステッド酸の強さは pKa によって定量的に比較されます。
酸・塩基の強さの尺度∣pKaとは?小さいほど強い理由と決まり方を解説 - まなびのいずみ |
一方、ルイス酸塩基は
となります。
例えばBF₃はH⁺を持たないためブレンステッド酸ではありませんが、
電子対を受け取るため、ルイス酸になります。
ブレンステッド酸は「H⁺を放出する物質」でしたが、 その本質は電子対を受け取る能力と見ることができます。
ルイスの定義は、この性質を一般化したものです。
ルイス酸・塩基反応は、そのまま配位結合の定義になります。
アンモニアからホウ素への矢印は
電子対がNH₃からBF₃へ供与される
ことを意味します。
つまり配位結合とは、
ルイス塩基 → ルイス酸 への電子対供与
そのものです。
金属錯体もルイス酸・塩基で説明できます。
NH₃が電子対を供与し、金属が受け取っています。
つまり、
金属錯体は、ルイス酸塩基相互作用を基礎として形成されます。
配位結合の強さには、
などの複数の要素が関わります。
供与・逆供与に関しては、下記の記事にまとめています。
供与と逆供与|金属–配位子結合とCO錯体をMOで理解 - まなびのいずみ |
ルイス酸は有機反応でも頻繁に登場します。
代表例がフリーデル・クラフツ反応です。
AlCl₃がClの電子対を受け取ることで、 R–Cl の結合が強く分極します。
その結果、R⁺(カルボカチオン)が生成し、芳香族求電子置換反応が進行します。
この反応において、AlCl₃はルイス酸、R-Clはルイス塩基として反応に関与しています。
ルイス酸塩基の考え方を使うと、
がすべて統一的に理解できます。
ルイス酸塩基の概念は、有機化学・無機化学・錯体化学をつなぐ共通言語です。
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