超共役(hyperconjugation)とは、σ結合(主にC–H結合やC–C結合)の電子が、隣接する空軌道や反結合性軌道に非局在化することで分子が安定化する現象です。
ざっくりいえば、
σ結合の電子が空の軌道にはみ出すことで安定化する
というイメージです。
σ結合・π結合および結合性軌道・反結合性軌道に関して、学習後に本記事を読むことをお勧めします。
σ結合・π結合に関しては、 原子価結合法(VB法)で解説しています。
結合性軌道・反結合性軌道に関して、分子軌道法(MO)を参照してください。
超共役の本質は、軌道の重なりにあります。
隣接する
が重なることで、σ電子が分散します。
これらの軌道はエネルギー的にも近く、対称性も適合するため相互作用が可能になります。
超共役はσ電子の非局在化です。
電子の非局在化である点は似ていますが、
π電子同士の非局在化である共鳴とは異なります。(→ 共鳴とは?)
共鳴 → π系の中での非局在化(同種軌道間)
超共役 → σ軌道と空軌道/π*軌道の相互作用(異種軌道間)
カルボカチオンでは、σ結合の電子が空のp軌道に供与されます。
これにより正電荷が分散し、安定化します。
カルボカチオンは超共役の効果により、置換基が増えるほど安定化されます。
アルキル基は+I効果(電子供与性の誘起効果)も持ちますが、カルボカチオンの安定化の主な要因は超共役です。
(→ 誘起効果とは?)
アルケンでは、隣接するσ結合の電子がπ*軌道(反結合性軌道) に供与されます。
この σ → π*相互作用により、電子が非局在化し、分子のエネルギーが低下します。
前述の効果のため、アルケンはカルボカチオン同様、置換基が多いほど安定です。
この安定性の差は、脱離反応におけるザイツェフ則として現れます。
これは、生成するアルケンの安定性(超共役による安定化)が高いほど有利になるためです。
アルキル基はベンゼン環に対して電子供与性を示し、SEArにおいては、オルト・パラ配向性を持ちます。(→ SEAr反応とは?)
これは
の両方によるものですが、超共役の寄与が特に重要です。
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