ザイツェフ則とは?|なぜ置換度の高いアルケンが主生成物になるのか
ザイツェフ則とは?

ザイツェフ則とは、脱離反応では一般に、より置換度の高いアルケンが主生成物になりやすいという経験則です。
脱離反応では、β位の水素がどこから取られるかによって、複数のアルケンが生成可能になることがあります。
このとき通常は、より置換度の高いアルケンが優先して生成します。
ザイツェフ則
脱離反応では、置換基の多いアルケンが優先して生成する
なぜ置換度の高いアルケンが安定なのか
ザイツェフ則の背景には、置換度の高いアルケンほど安定になるという性質があります。
アルケンでは、アルキル基が増えるほどπ結合が安定化されます。
主な理由としては、
があります。
一般に、アルケンは置換基が増えるほど安定です。
そのため、
置換度が高い
→ アルケンが安定
→ 生成物として優先する
という傾向が現れます。
具体例:2-ブロモブタンの脱離反応
たとえば 2-ブロモブタンに強塩基を作用させると、E2脱離が起こります。
このときβ水素は両側に存在するため、
- 1-ブテン
- 2-ブテン
の両方が生成可能です。

(1) 末端側のβ水素を取る場合
生成物:1-ブテン
これは一置換アルケンです。
(2) 内部側のβ水素を取る場合:主生成物
生成物:2-ブテン
これは二置換アルケンです。
通常は、ザイツェフ則に従って、より安定な二置換アルケンである 2-ブテンが主生成物になります。
例外:ホフマン則
通常はザイツェフ則に従い、より置換度の高いアルケンが主生成物になります。
ただし、tBuOKのようなかさ高い塩基を使う場合には、置換度の低いアルケンが優先して生成することがあります。
これはホフマン則と呼ばれます。
→ 詳しくはホフマン則の記事で整理しています。
E1反応・E2反応との関係
ザイツェフ則は、E1反応とE2反応のどちらでもよく見られます。
E1反応では、基本的にザイツェフ則に従います。
一方で、
E2反応では、
- 立体配座 (アンチペリプラナーで進行)
- 立体障害
- 塩基の大きさ
などの影響も受けるため、単純に置換度だけでは決まらない場合もあります。
E1とE2の選択性や生成物の違いに関してはこちらの記事で解説しています。
まとめ
- ザイツェフ則とは、脱離反応においてより置換度の高いアルケンが主生成物になりやすいという経験則
- 背景には、置換度の高いアルケンほど安定という性質がある
- アルケン安定化には超共役や電子供与効果が関係する
- E1・E2の両方で見られる
- かさ高い塩基ではホフマン則が見られることがある
