E2反応とは?|反応機構とアンチペリプラナーをわかりやすく解説
E2反応とは?
E2反応とは、基質と塩基の2分子が同時に関与して進む脱離反応です。
塩基がβ位水素を引き抜くのと同時に、脱離基が外れてアルケンが生成します。
- E = Elimination(脱離)
- 2 = 律速段階に2分子が関与
中間体を経由せず、一段階で進行する協奏反応である点が特徴です。
基本的な反応形式
E2反応は、ハロゲン化アルキルからHXが脱離し、アルケンが生成する反応です。

反応形式自体はE1反応と同じですが、反応機構は異なります。
- E1反応:二段階反応
- E2反応:一段階反応
反応機構

E2反応では、β水素の引き抜きと脱離基の脱離が同時進行します。
強塩基がβ位水素を引き抜くと同時に、脱離基(Br⁻, Cl⁻, OTs⁻ など)が外れ、二重結合が形成されます。
E1反応とは異なり、カルボカチオンなどの中間体は生じません。
E2反応は、SN2反応と同様に協奏的な反応機構です。
E2反応の特徴
- 一段階反応
- 中間体を生じない
- 結合形成と結合切断が同時進行する
E2反応の立体配座:アンチペリプラナー
E2反応では、脱離基とβ水素がアンチペリプラナー配置をとると最も進行しやすくなります。

これは、C–H結合の電子がC=C結合へ移り、同時にC–X結合が切れる際に、軌道の重なりが最も良くなるためです。
E2反応の立体選択性
E2反応では、基質が取りうる立体配座によって、生成アルケンの立体配置(E/Z)が決まる場合があります。
特に、脱離基とβ水素がアンチペリプラナー配置をとる経路が優先して進行します。

位置選択性:ザイツェフ則とホフマン則
E2反応やE1反応のような脱離反応では、複数のβ水素が存在する場合、どの位置で脱離が起こるかが問題になります。
通常の小さな塩基を用いるE2反応では、より安定なアルケンが主生成物になりやすく、一般に置換度の高いアルケンが優先します。
これをザイツェフ則といいます。
一方、かさ高い塩基を用いる場合には、立体障害の小さい位置から脱離が起こりやすくなり、置換度の低いアルケンが主生成物になることがあります。
これをホフマン則といいます。
SN2反応との競合
E2反応はSN2反応と同じく一段階で進行するため、同じ条件で競合しやすい反応です。
一般に、
- 第1級基質:SN2優位
- 第2級基質:SN2 / E2競合
- 第3級基質:E2優位
となります。
また、
- 強塩基
- かさ高い塩基
- 高温条件
ではE2反応が有利になりやすくなります。
代表的なE2塩基
- OH⁻
- RO⁻
- NH₂⁻
- tBuO⁻
E1とE2のどちらで進行するか?
E1とE2は、反応機構の違いによりそれぞれ異なる生成物が得られます。
反応選択性は、塩基、溶媒などの反応条件や立体配座や立体障害の基質の性質などで決まります。
反応条件により、E1とE2の反応を選択することで、生成物を作り分けることもできます。
| 項目 | E1 | E2 |
|---|---|---|
| 機構 | 段階的 | 協奏的 |
| 中間体 | あり | なし |
| 塩基 | 弱塩基でも進行可 | 強塩基が必要 |
| 立体要求 | 小さい | アンチペリプラナー必要 |
E1とE2の反応選択性に関しては、下記の記事でまとめています。
E2反応の代表例
2-ブロモブタンにエトキシド(EtO−)を作用させると、E2反応によりブテンが生成します。

一般に、より置換度の高い2-ブテンが主生成物になりやすく、1-ブテンは副生成物になります。
まとめ
E2反応は、強塩基によって一段階で進行する二分子脱離反応です。
塩基によるβ水素の引き抜きと脱離基の脱離が同時に起こるため、中間体は生じません。
また、反応にはアンチペリプラナー配置が重要であり、基質の立体配座が反応性や生成アルケンの立体配置(E/Z)に大きく影響します。
- 強塩基条件で進みやすい
- 中間体を生じない協奏反応
- アンチペリプラナー配置が必要
- 通常はザイツェフ則に従いやすい
- かさ高い塩基ではホフマン則が現れる
- SN2反応と競合する
E2反応では、基質構造・塩基の大きさ・立体配座によって、反応経路と生成物選択性が決まります。


